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 朝から登校するのは嫌だったが、亮雅のことも心配で駅に向かう。  すると、ちょうど黒塗りの車が停まって亮雅が降りるところだった。  肩を貸すと、亮雅は「悪い」と少し身を縮めながら俺の右肩に掴まる。 「じゃあ、平気なのね」 「あぁ。サンキュ」  車の助手席側の窓が開いて黒髪ストレートの白いスーツを着た女が少しサングラスを下げたが、亮雅はそれだけ言って目は合わせない。  軽く会釈をされて咄嗟に返すと、車はそのまま走り出した。 「あれって?」 「……母親」  車を見たまま聞いても亮雅はそっちを向こうとはしない。 「は!?若くねぇか!?」 「いや、四十七だって」  亮雅の顔を覗き込んでも亮雅は珍しくそっけなかった。 「マジか!あんなクール系美人だったとは……」 「やめろ」  もう話したくなさそうに亮雅は改札に目をやる。 「お前がふわふわ系のかわいいのばっか抱くのって関係あるか?」  最近は減っていた女の話題を振ると、亮雅は定期を出してこっちを向いた。 「お前がそういうの嫌うから残るのがそうなだけだろ?」  何でもない言い方だが、いつも「おいで」ってまず一番頭の軽そうなのに声かけるのは亮雅の癖に? 「俺ってお前のこともあんま知らんよな」 「は?どーしたんだよ、急に……」  訝しむような顔に真面目に向き直ると、亮雅は口を閉じて視線を外した。 「いーんだよ。お前は俺なんか気にせず好き勝手したら……」 「どーして?」  その問いに亮雅は答えなかった。

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