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「……どっか悪いのか?」
ミルクティーを取って聞くと、
「あ、もしかしてブラックって飲めなかったか?」
「うるせぇ!てか、茶化すな!」
ケラケラ笑われて睨んでやる。
「さすがにしゃべり過ぎたんだって」
「は?」
「守秘義務もあるし……あとは怜旺に聞け、な?」
再びソファーに座って渋谷はコーヒーを飲み始めてしまった。
フーっと息を吐く渋谷は仕事を終えた大人の顔でちょっとおもしろくない。
「お前、やっぱムカつく」
「ん、ならもうケガして来んなよ」
笑う渋谷の余裕そうな顔が更にムカつく。
「帰るっ!!」
「消毒だけしてやろーか?」
立ち上がった俺にまだ笑いながら言ってきて、
「いらねぇよ!こんなもんっ!!」
包帯ごとガーゼも剥がして叩きつけてやった。
それでも渋谷は表情を変えることもなく立ってソファーにコーヒーを置く。
そのまま近づいてきて一度その手を振り払ったが、渋谷はもう一度手を伸ばして俺の前髪を掻き上げた。
「うん、傷口綺麗だな」
「もういいだろ」
渋谷の手を退かすと、渋谷は頷いて微笑む。
「怜旺によろしくな」
「自分で言えよ」
「だから、あいつは俺には都合いい時しか連絡してこないんだって」
悲しげに笑う渋谷に俺は何と言ったらいいのか。
ミルクティーを一気に飲んでその缶をゴミ箱に捨てる。
「なら、お前から連絡してやれよ」
振り返ると渋谷はキョトンと少し驚いたような顔をした。
「……そうかもな」
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