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「俺は小四から学校行ってなかったんだよ」  確かに、いつも空席があった気はする。 「でも、六年の時は一学期の終業式の日、夕方になってから学校に行ったんだ。したら、元々俺を良く思ってない奴らが遊びに来てて……俺は圭斗に助けられた」 「あー!俺がキレてぶん殴ったアレか?」  確かに小六の夏、頭を抱えて蹲っていた奴に三人で笑って蹴りを入れているのを見つけてブチギレた。  僅かにあった記憶を引っ張り出すと、亮雅はフッと笑う。 「そう!「それはてめぇらだろ!」ってあんなクマみたいなの殴り飛ばして、「お前も下向いてんなっ!」って俺も怒られたし」  笑い出した亮雅に何と言ったらいいのかわからない。  しかも、ぼんやりとした記憶ではあるが、そいつと亮雅はどう考えても一致しない。 「あれ?って思ってるか?」  頷いていいのか迷っていると、亮雅はフハッと笑う。 「当時は九十二キロあって……あの日から俺は必死にダイエットしたんだよ」  ダイエットということは……あの不安そうに眉を寄せて大きな体を縮こまらせていたあいつがやはり亮雅だということか? 「お前と並んで、突き進むお前を側でフォローしたくて……痩せて、勉強して、サンドバッグ相手に動画見まくってイメージしてたんだよ」 「何だそれ」  笑うと亮雅はじっとこっちを見てくる。 「お前は俺の憧れだから」 「はっず!」 「だろ?」  だから言いたくなかった、とそっぽを向いた亮雅の耳は真っ赤だった。

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