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60、第8話「決着」
期末テストが終わると一気に夏休みへと気持ちがシフトする奴らが増える。
「なーぁー、海行こ?」
祐生もその一人で、俺の机に両肘を付いて甘えたような声を出す祐生のデコを弾いてやった。
「ってぇっ!」
手で押さえて大袈裟な反応をする祐生を白けたまま見つめる。
「何でっ!!あっついし、いいじゃん!海っ!!胸が零れ落ちんばかりのお姉さんもいっぱいじゃんっ!!」
「お前、ココロちゃんは?」
亮雅が呆れたように聞くと、祐生はパッと訴える相手を俺から亮雅に変えたらしくそっちに身を寄せた。
「心も行くよ!でも、ビーチのお姉さんたちはまた別じゃん?見るだけは浮気じゃねぇしぃっ!」
ニヤリと笑う祐生に何の感情も湧かない。
どちらかといえば、呆れとかイラつきかもしれない。
朝からもううるさくて仕方ないから。
「赤点もみんななかったじゃん?だから、水着買いに行こーぜぇっ!!」
「楽しそうですねぇ。ということは、テスト後に提出になっている課題は全て終わっていますか?」
テンション上がりっぱなしで立ち上がった祐生の背後からその肩に手をついた獅子谷が顔を出す。
「うぉっ!!と……びっくりしたぁ!」
「あ、あと椎堂は居残りですからね」
飛び上がった祐生に微笑んでから、獅子谷はこっちを見た。
「あ?」
「実技の時間が足りていないので補習ですよ」
亮雅を見てもそれはどうにもならないらしく、肩を竦められて俺は舌打ちするしかない。
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