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「お前らデジタルタトゥーって知ってるか?」  不意に響いた声。 「は?誰!?どこだよっ!?」  佐尾が目を吊り上げて辺りを見回す。  俺の左右の奴らも周りを見ていて少しナイフは離れた。  だが、俺の腕は固められているし、左足に力が入らなくてこの一瞬で逃げ出すのは無理な気がする。  でも、その声を聞いただけで安堵した俺は無理に逃げる必要はないと頭をフル回転させて考えるのも止めた。すると、 『おら!椎堂!何だ、その目はっ!散々ナメたマネしやがって!謝れや!』  さっき聞いた覚えのある佐尾の声とガコンという派手な音。 「はぁ!?」 「これ公開してやろっか?」  ノートパソコンを開いて吹き抜けになっている二階の階段から現れた獅子谷はフッと笑ってこっちに画面を見せたままカタカタとキーボードを触りながら降りてきた。  さすが普段教えているだけあって片手だけなのに凄いスピードで何かが打ち込まれていく。 「ナイフで脅して拉致。拘束して無抵抗な男に集団でリンチ……ヤベェな?」  綺麗な弧を描く口元。  あの黒い瞳が細められて、低い威圧感のある声にビリビリする。  さっきまでしていたネクタイもメガネもなく、青い爽やかなシャツのボタンを一つ開けて微笑む様は妖艶で見惚れてしまった。 「椎堂から離れて壁に背中をつけろ。じゃないと……押すぞ?」  エンターキーに乗せられる指。  慌てた佐尾たちはバタバタ音を立てて紙に足を取られながら壁際に寄った。

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