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「ったく……手間かかんな。お前は」  呆れたようにため息を吐きながら雑にガムテープを切られて左脇を抱えられる。 「うっせ」  そのまま立ち上がると、獅子谷は立ったまままたカタカタとキーボードを叩いた。  パッと画面に現れたのはフザけた顔のピエロと真っ赤な風船。 「これが爆発するのが今から十五分後。それまでにロック解除できないと……」  言いながら顎で指示して俺を支えたままビルの出入り口に移動した獅子谷はフッと笑う。  俺をその場に立たせたまま足元にパソコンを置いた。  ギリギリと音がしそうなほど歯を噛み締めている佐尾たち。 「ま、頑張れ?」  笑ってタンっとキーボードを叩くと、『キキキキッ!Games Start〜っ♪』イラッとするような高い機械音がしてタイマーがカウントダウンを始める。 「うわっ……」 「急ぐぞ!」  その趣味の悪さに軽く引く俺の左脇を再び支えられて、獅子谷と外に飛び出した。 「くそ……痛ってぇ!」 「いいから足動かせっ!」  急かされて走る。  右目はうまく開かなくて、足もやたら殴られて、蹴られた腹も痛みで息がし辛い。 「ちょ……も、いいからこっち」 「はぁ!?」  走るのは限界で獅子谷のシャツを引っ張る。  脇道に入って狭いその道を抜けた先を目指した。  そして、裏道に出てすぐの建物に入る。 「おい、ここ……」  ためらう獅子谷の腕を引いて突き進んだ俺はよく見えないままパネルを押した。

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