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「何でわかんだよ?」
聞くと、獅子谷はスマホを投げてきてベッドにポスンと落ちる。
覗くと見たくもない佐尾やスキンヘッド、そして、他の二人も必死の形相で喚いていた。
「は?」
「まだ解除しようと必死なんだろ?何してもあのピエロはカウントを続けるし、風船は膨らんで破裂するけどな」
「はぁ?」
歩いてきた獅子谷は俺の右目にタオルを押し当ててくる。
渡されて俺が自分で持つと、氷がいくつか入れてあるらしく小さな音が鳴った。
そして、そのまましゃがんだ獅子谷に左足の靴を脱がされて見える左目をそっちに向ける。
獅子谷は俺の靴下も剝いでスラックスを膝上まで捲り上げた。
ケガを確認しているんだろうが、足元に屈んでじっと見てくるのは少し気分がいい。
「足先動かせ。……膝も、曲がるか?」
「なぁ、風船割れたらどうなんだよ?」
「別に?気になんのか?」
顔を上げた獅子谷は手を伸ばしてスマホを手にすると操作してから画面をこっちに向けてくる。
画面にはもう入り切らないほど膨らんだ風船。
パーンッ!!と破裂音がすると、
『Game Over〜♪』
ピエロが笛を吹きながらケタケタ笑っていた。
「うわ……」
俺ならキレてぶん殴る。
思うと、パッと画面が切り替わった。
真っ黒な画面に真っ白な何の字体かもわからない、とにかくムカつく文字が打ち込まれるように現れる。
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