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87、第11話「覚悟しろよ!」
「えっ!?……」
二時間目が終わったタイミングで教室に入って、机にカバンを置きながら座る俺をポカンと口を開けたまま見てくる祐生。
クラスもやたらザワついていてイラッとはする。
「はぁ?圭斗っ!?」
トイレにでも行っていたのか、歩いてきた亮雅も俺を見るなり走ってきた。
「どーいう心境の変化だよ」
驚きを隠せないようなその反応にはもう笑ってしまう。
「んー、イメチェン?」
「本物か?」
窓枠に手を掛けたままギッとイスの前足を上げて後ろ足でバランスを取ると、亮雅は俺の髪に指を差し込んできた。
「俺の髪だっつの!」
その手を払って乱れたセットを軽く指で整える。
今までの肩まであった髪はバッサリと切った。
毛先数センチの短髪にして襟足は刈り上げた俺。
染めたばかりなのもあるが、金髪は止めなかった。
短い髪は久々過ぎてまだ首元は落ち着かないが、スッキリして清々しくもある。
「椎堂。登校したなら職員室に来るようにと何度言えば……」
ガラッと後ろのドアを開けて入って来た獅子谷も、亮雅がズレて俺の姿を目にするとピタリと動きを止めた。
「似合う?」
ニィッと笑うとハッとしたようにまた歩いてきた獅子谷。
「お前、何を企んでる?」
俺の側で声を潜めるのを見て笑ってしまった。
「憧れてその姿追ってんじゃなくて、ちゃんと“椎堂圭斗”としてぶつかろうと思って?」
「はぁ?」
警戒するその顔も好きだと思う。
できるなら後頭部を引き寄せてキスしたいのを何とか我慢した。
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