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週明け、夏休み初日から学校に向かうと、すれ違った教師たちほとんどが驚いた顔をこっちに向けてきた。
ペタンペタンといつものように足先だけを引っ掛けて踵を踏みながら、カバンの持ち手を背負うようにして両手をスラックスのポケットに突っ込んで廊下を歩く俺。
「……ったく、本当に来やがって」
職員室から出て来た獅子谷は俺を見てため息を吐いた。
どうやら見かけた教師が呼んだらしい。
「ピッタリ十三時だろ?」
スマホの画面を見せると獅子谷は目を細める。
「……教室行ってクーラーつけとけ」
鍵が飛んできたのをキャッチしていると、獅子谷はクルリと向きを変えて職員室に戻ってしまった。
一緒に歩いて教室に行きたかったなんて言ったら怒るだろうか?
しばらく待ってみると出て来た獅子谷。
「何でまだここに居んだよ。ったく、暑いんだから先にクーラーつけとけよ」
項垂れるその姿もかわいいと思ってしまった。
俺ばかりが獅子谷を見ていてなかなか合わない目。
歩き出した獅子谷の隣に並んで「こっちを向け!」と胸の中で念じる。
その瞬間に獅子谷がこっちを見て、思わず口元が緩むと獅子谷は訝しむような顔をした。
「何、企んでやがる」
「何も」
本当にただ嬉しかっただけなのに、獅子谷はまたため息を吐いて階段を上る。
「あっち……」
「道路とか地獄だぞ」
ネクタイに指をかけて緩めるのを見ながら俺も手で扇いでみた。
変わらず蒸し暑いが校舎の中で直接日差しが当たらないだけでマシな気はする。
「そんな中、よく歩いてきたな」
「愛のパワー♡」
「……」
でも、俺の想いはまだ届く気配がない。
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