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 夏休みがこんなにもどかしく思う日が来るなんて。  朝起きてから、俺はもう何度ため息を吐いているか。  しかも、俺は夏休みに入る頃から毎日机に向かっていた。  今も数学の教科書とノートを開いているなんて自分でも驚く。  思わず笑ってしまうと、ドアをノックするのが聞こえた。 「けいちゃん、お友達がいらっしゃったわよ」  母親の声がしてドアの向こうには確かに気配がする。  開けると、そこに居たのは母親と亮雅だった。 「何事だよ」  母親が去ってから笑うと、亮雅はため息を吐く。 「お前が全部断ってくるからだろ?」 「で、積極的なお誘い、か?」 「茶化すな」  亮雅を中に入れて、俺はさっさとドアを閉めた。 「いいのか?お茶を持ってくるって言ってたぞ?」 「うるせぇ」  手で払うマネをしつつ教科書を閉じる。 「本気で勉強してるのか?」 「お前のクラス一位も危ういな」  笑ってやると、亮雅は無言でドアを開けた。  そこに居たのは母親。  にこやかにお礼を言ってトレイを受け取るのを見て舌打ちしてやる。 「プールだの海だの夏祭りだの……誘いがめっちゃ来てるけど?」  俺の机にその飲み物とかを置くと、亮雅はスマホを見せてきた。  相変わらずハートの多いゴチャゴチャしたメッセージ。 「興味ねぇ」 「で、やってんのは勉強か?」 「学生らしいだろ?」  笑うと、亮雅はグラスの中身を飲み干してため息を吐く。 「獅子谷に惚れてんの?」  グラスを置くと亮雅はじっとこっちを見てきた。

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