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 金曜日の授業後。  もう教室に残って勉強するのはいつもになっていた俺。  獅子谷はパソコン部の指導に行っていて、一人で勉強するのは正直辛い。  でも、部活が終わると獅子谷はいつも教室に来てくれたから、俺はとにかくその少しだけ二人で話せる時間を楽しみに獅子谷が用意してくれたプリントの問題と向き合っていた。 「あー肩痛ってぇ」  凝った肩を解しながら外で走るサッカー部の声が聞こえて窓の向こうに目をやる。  九月になったというのに、外はまだギラギラと太陽が照りつけていて息をするだけでも暑そうだった。 「あぁいう青春は……無理だな」  窓枠に頬杖を付いて呟くと、ガラガラと前のドアが開いてそっちに目をやる。 「そろそろ飽きたか?」  メガネを外しながら獅子谷が歩いてきて嬉しさを隠しきれない。 「プリント二枚はやったっつの」  自分でもその声が弾んでいるのを感じつつ、終わったプリントを手渡した。 「へぇ……」  獅子谷はチラッとだけプリントに目を落としてすぐにこっちを向く。 「どっか違ってた?」 「は?英語は知るか。後で採点はしといてやるよ」  そのまま俺の前のイスを引いて腰を降ろした。 「部活は?」 「抜けてきた」 「何で?俺に会いたくなった?」 「んなわけあるか」  気怠げな、でも、どこか落ち着かない言い方。 「……会いに行く日決めたか?」  何となく感じ取って聞くと、獅子谷はキュッと口を閉じてコクリと頷いた。

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