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「……にしても過ぎんだろ!」
つい大きめの声が出ると、それまで騒がしかった連中がピタリと黙った。
「圭斗〜!何、どった?暑くてご機嫌ナナメか?」
祐生にポンポンと肩を叩かれてため息を吐く。
確かに暑い。
何でこんなとこに居なきゃいけない?とは思っている。
今まで体育祭 も出たことはなくて、テントの下とはいえ控え席に居るだけでも窮屈だった。
だが、チラッと前方を見ると、白のポロシャツを着て黒いキャップを被っている獅子谷が居て、競技に参加する奴らを送り出している。
少し柔らかい表情を見せていることに軽く嫉妬しつつ、こっちを向け!!なんて念じてみた。
「普通、そうだとこっち向くだろ!!」
舌打ちしても獅子谷は気づかなくてクラス委員風の奴と話している。
「何、亮雅居なくて不機嫌?」
「は?ブサけんなよ?」
祐生に聞かれて軽く殴ってやった。
亮雅は朝は居たのだが、「バカらし」と今日はどこかでサボっている。
俺も……とは思いつつ、こんな獅子谷がずっと近くに居るのに離れられなかった。
「あ!見て見て!次に走るあの子!めっちゃ美人じゃね?」
祐生にバシバシ背中を叩かれて舌打ちをする。
「あ?うるせぇっ!」
睨んでも祐生はこっちなんて向かずにトラック内を見つめていた。
「あの三レーンの細身美人か、六レーンのかわいい系巨乳、どっちがい?」
デレたその横っ面をぶん殴ってやりたい。
「興味ねぇ」
「えー?あの巨乳絶対好きじゃん!てか、もう喰った系?」
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