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「マジでまだ痛ぇ」  呻くと、獅子谷は少し睨んでくる。  結局、保健室に連れて行かれ、獅子谷が持ってきたジャージを渡された。  嫌がったのに凄まれて仕方なく穿いたが長さが足りず。  ロールアップされて白シャツも剥がれた。  多くの奴らが紺の短パンを穿いている中に黒のジャージはまだいい。  だが、赤いTシャツは目立つ気がする。 「いいだろ?三GはクラスTシャツ作ってるから黒だし、どこだったかも水色だったぞ?」 「全部三年じゃねぇか」 「そんなんお前気にするのか?」  フッと笑われて舌打ちした。  こうなったらどうでもいい気もする。 「でも、こんなんで走れなくね?」  腹を擦ると獅子谷はスルリと手を伸ばしてきた。  俺にくっついてきて胸元に埋まる獅子谷。  背中に回された手がぎごちなさげに添えられてグッとくるものを堪える。なのに、 「悪かったって……でも、チビ扱いすんな」  少しスネたような言い方はズルい。  俺はその両肩に手を付いて息を吐きながら引き剥がした。 「パワー頂戴?」  イスに座って目を閉じると、少し間があってから軽く唇に触れられる。 「足んなくね?」  目を開くと、少し顔を赤くした獅子谷がこっちを見て眉を寄せていた。 「ちゃんとしてくんなきゃ走れねぇよ?」  ニヤリと笑うと唸った獅子谷が俺の両頬を掴む。  口を引き結びつつもキスはしてくれて、グッと押し付けてくれた。  そのまま腰に手を回して抱き締める。  だが、そんな甘い空気も招集の放送に反応した獅子谷によってすぐに現実に戻されてしまった。
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