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 招集で俺を並ばせると、 「逃げるなよ?」  獅子谷は低い声で脅してきてすぐに居なくなってしまった。  ここまで来てそんなの、とは思うが周りの気まずそうな雰囲気を察してガシガシと頭を掻く。  散々授業をサボって、ケンカして、タバコを吸って……今も金髪ではあってピアスもいくつも着けているしこの服装は目立つのだろう。  でも、何となく走るからには負けたくなかった。  獅子谷に褒めてもらいたい。  そう思ったら同じ二年男子で並んでいる他の連中には負けたくない気もする。  部活に入っている現役のガチメンバーも居るだろうに、一位になりたいと思ってしまう。だが、 「入場します!」  案内係の声と共に流れた音楽を聞いてげんなりした。  は?駆け足とかしねぇぞ?  逃げ出したくなったが、前は一年後ろは三年が居て、三コースに並ばされた俺は抜け出し辛い。  列がゆっくり動き出して誰も駆け足も行進もしていないことに気付いて少しホッとした。  なのに、列が止まった目の前には俺ら二Fの控え席。 「圭斗〜ぉっ!転ぶなよーっ!!」  ニヤニヤした祐生が誰のか知らないタオルを振って騒いでいた。 「フザけんな、あいつ……」  舌打ちすると、周りの奴らがビクッと小さく肩を揺らす。  そのことにもイラッとはしたが、一年女子が走り出してみんなの視線が移動するようになっても獅子谷はこっちを見ていてちょっと嬉しくなった。

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