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一走の山根がスタート位置につく。
そのすぐ隣の五レーンには赤いハチマキ。
「軽くぶっ千切っていけよー!」
隣に居るアンカーの嫌味な言い方に大きめの舌打ちをすると、男はスッと黙った。
念のため睨みを効かせておくと、男はフイッと視線を外す。
その間に一斉にスタートして、低い姿勢から一気に飛び出したのは山根。
緑、赤……とほぼ差はないくらいで二走に渡りバトンで少しもたついて竹野は三番手になった。
そのまま青山に渡って黄色も追い上げてくる。
俺がバトンを受けた真後ろには黄色が居て、目の前にはムカつく赤とほぼ差なく走る緑。
半周走ったところで捕えかけ、
「祠堂っ!!行けーーーっ!!」
獅子谷の声援で俺は更に足を踏み出した。
赤を抜いてそのまま緑も追う。
最後のカーブで緑も捕えるとかなりの僅差でゴールした。
本気で走り過ぎて心臓が痛い。
ゼェゼェと息も乱れまくって後ろを確認する余裕さえなかった。
「っは……クソ、ダセェ……」
膝に手をついて呟く言葉さえ途切れる。だが、
「祠堂!凄ぇよ!一位!!」
山根たちが走ってきて背中を叩かれた。
三年男子も走り終わって周りも興奮しまくっている中、四人で控え席に戻る。
「圭斗ーっ!!」
飛びついてきた祐生の向こうに笑っている獅子谷を見つけた。
「んで、学年優勝だったのかよ?」
聞くと、「たぶんな」と獅子谷が答えてドッとクラスが沸き上がる。
二年男子リレーは一位ピンク、二位緑、三位黄色、四位赤で逆転していた。
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