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147、第18話「お家デート」
「ったく、結局最後消えやがって」
舌打ちをされて笑っておく。
閉会式と表彰式なんてあんな騒がれる中出ていられなくて逃げたのだが、獅子谷にはもう何度も怒られた。
それでもまだ文句があるらしい獅子谷を見つつそっと息を吐く。
学年優勝をして、ついでに群団優勝にもなったのに何が不満なのか。
汗が張り付いて気持ち悪いTシャツを脱ぐと、獅子谷がパッと俺にタオルを投げて顔を背けた。
「何?ドキッとした?」
その手首を掴んで顔を寄せてやると、
「んなわけあるかっ!」
言ってきつつ獅子谷はやはりこっちを見ない。
その耳が少し赤いことに気づくと、俺は唇を寄せて軽く食んだ。
ピクリと反応して漏れる小さな吐息。
「一位になったし、優勝したんだからデート……だよな?」
ぞろりと舌でその輪郭をなぞって直接耳に流し込むと、獅子谷はキュッと眉を寄せた。
その顎を捕えてキスを落とす。
開いた隙間に舌を挿し込んで絡め、混ざった唾液を吸い上げた。
「……デート、って?」
トロンとした顔の獅子谷に微笑む。だが、
「あんたん家に行きたい」
口にすると、獅子谷は弾かれたように俺の胸を押してフルフルと首を振った。
「無理っ!!絶対無理だっ!!」
「何で?一人暮らしだろ?」
「そうだけど……ダメだ!」
「何で?」
「何でも!」
「優勝したのに?」
聞くとピタリと動きを止める。
「何でも言うこと聞くんだろ?」
ダメ押しすると、獅子谷はぐぬぬっと唸った。
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