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「何?嫌なのかよ」
自分でもわかるくらい声にトゲが混じってしまう。
でも、獅子谷は俺の肩に顔を隠したままフルフルと首を横に振った。
「じゃあ、何?」
「……」
聞いてもすぐには答えない。
仕方なく手で滑らかな尻を撫でると、ピクッと跳ねて獅子谷がこっちを見た。
「待て……」
「何で?」
なのに、聞くと黙り込む獅子谷。
その顔は真っ赤で困ったようなその顔はちょっとイジメてやりたくもなる。
答えないのに焦れたフリをして再び手を伸ばすと、獅子谷は俺の手首を掴んで胸に顔を付けてきた。
なぜ止めるのにくっついてくるのか?
「……準備、してない」
「は?」
ぽそっと溢された言葉がよくわからなくて聞き返す。すると、
「だから!後ろの準備してねぇんだよ!」
顔を上げて真っ赤な顔で叫んで獅子谷はクルッと後ろを向いた。
だが、淡く色づいている背中も括れている腰も、割れ目に沿っている細い紐も……見ているだけで欲は止まってくれそうもない。
「別に準備しなくても……」
「ヤダ!」
「ヤダって……」
「無理だっつの!」
ムッと口を引き結んで殴って来ようとする手を止める。
「どうしても?」
聞くと大きく頷かれて、俺は深いため息を吐いた。
「……コレ、どうしてくれんだよ」
前だけ開けてあった下を脱ぎ捨てて俺の下着を押し上げているモノを見せると獅子谷はちょっとためらう素振りを見せる。
まぁ、嫌なら止めよう……と引こうとすると、獅子谷は手を伸ばしてきて俺のボクサーパンツのゴムを少し下げた。
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