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163、第20話「まだかよ?」
「おはよ!」
せっかく朝早くから登校してわざわざ教室までも遠回りしたのに、獅子谷はチラッとこっちを見たくせに無視しやがった。
「は?」
イラッとして走ると、職員室に入ろうとしたその腕を掴んで引っ張る。
廊下にあった棚の隙間に押し込むと、睨み上げてくる獅子谷。
逃げ場を塞いでから俺はそんな獅子谷を壁に押し付けた。
獅子谷はそのまま黙ってこっちを見上げている。
「何で無視すんだよ」
「……」
「おい!何とか言えよ!」
顎を掴んでキスをしようとすると、それはパチンと跳ね除けられた。
その手が少しヒリヒリと痛む。
感じた痛み以上に痛い気がするのは俺がショックだったからだろうか?
「学校でアホなことするな」
「学校じゃなきゃいいのかよ」
「学校じゃなくてもシなかったくせに?」
スッとメガネを押し上げて目を逸らされる。
「は?シなかったこと怒ってんのか?」
ちょっと嬉しくなってその肩を掴むと、また払って睨まれた。
「違う。本当はヤってもねぇのに勒さんに勘違いされてニヤニヤされてんだよ」
ムッとしながら顔を逸らして盛大になる舌打ち。
「は?」
「ギシギシ凄くて声もお盛んだったな、って……」
「下のじじいに言われて恥ずかしいって?」
聞いても獅子谷はただ顔を赤くして俯く。
他の奴に獅子谷のあの声を聞かれたのはおもしろくない。
でも、今までデリヘルとして複数でのプレイどころか相当なこともしてきただろうに……それでこんなにも恥ずかしがる獅子谷がかわいくて仕方なかった。
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