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 数日、獅子谷は怒っていたが、そんな姿さえかわいく見えてニヤけてしまう。  それが余計に獅子谷を怒らせたが、そんなの俺にはどうにもできない。 「ったく……お前が変に盛るから」  まだブチブチと文句を言いつつも思い出して照れる獅子谷。  怒ったり照れたりと忙しくて、そんな普段は冷静でほぼ無表情のまま授業をしているくせに俺の前ではクルクル表情が変わるのが嬉しかった。 「何、笑ってやがる」 「いやぁ?キスしたいなって!」 「お前、人の話聞いてねぇだろ?」  眉を吊り上げるその顔からメガネを外してやる。  近づけた顔はパチンと叩かれたが、その手を取って指先にキスをすると獅子谷はピクッと跳ねた。 「本当……敏感過ぎてムカつくわ」 「あ"?」  こめかみに浮き上がる血管を見つめて引き寄せる。 「その顔、何人に見せてきてんだよ」  こいつの欲の浮かんだ顔は俺だけのモノなのに。 「はぁ?」 「今まで何人に声聞かれてんだ?」  下の階に住むじじいなんかじゃなく何人にも実際に目の前で聞かせていたくせに? 「……」 「デリヘルで常連は居たのか?妖しげなプレイする奴とか?今まで何してき……いや、やっぱいい」  言っていて自分で聞きたくなくなって頭を振った。 「悪ぃ……何でもねぇ」  ガタンとイスに深く座って後ろに仰け反る。  過去なんて変えようがないのに嫉妬とかクソダセェ。  ちょっと前まで暑くて死にそうだったのに、一気に秋めいた風が開いた窓から入ってきてスッと教室の中を抜けていく。

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