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「っ……バカっ!!」  バチンと叩いてくる手を掴んで壁に押し付けた。  顎を固定して深く舌を挿し込む。  そのまま脚を割り開いて膝を押し当てると、獅子谷は凄い力で俺を押してきた。 「バカか!お前は……ここ、学校だぞ!」 「期待して勃ってるくせに」  止めても押してくる獅子谷に体格差で伸し掛かるように留めて顔を寄せる。 「うるさいっ!お前が煽るからだろうがっ!!ったく、中途半端にしやがって……」  殴ろうとしてきた手を止めてじっと見てやった。 「余計にシたくなる?」 「黙れ!」  笑いながら聞いてやると、獅子谷はまたすぐに殴って来ようとする。 「俺もシたいのにさせてくんねぇからだろ?」  口を突き出してみると、 「だから……ホ……」 「初夜のために早く引っ越せって!」  言い返してくるのを更にカブせてやった。 「まだ言ってんのか?」  なぜ呆れたような顔をしてくるのか? 「譲んねぇよ?」  ここまで我慢してきて引くわけにもいかず真剣に見つめてやると、獅子谷は深い息を吐き出した。 「引っ越したくねぇのかよ」 「……」 「何?」  黙り込んだ獅子谷を見て何となく察する。  聞いてもこれ以上は答えなさそうで、俺はゆっくりその手を引いた。  腕の中に囲んでその額に軽くキスをする。  そして、なぜかそんなので照れる獅子谷をしっかり抱き締めた。 「……引っ越して気兼ねなくシてぇよ」  本音が溢れ出しても、獅子谷はただ俺の背中に手を回してギュッと抱きついてくるだけだった。

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