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 やっぱり恋人らしい二人を見ながら俺は頷く。 「だからって寄るな!」  それでもメガネじじいはシッシッとヒゲじじいを追い払った。  それを見て何となく獅子谷を思い出してしまう。 「あんたら付き合ってんだな」 「だなァ!もうすぐ四十年だなァ」 「そんなことどうでもいいだろ。いつまで客を玄関に立たせてるんだよ」  やっとヒゲじじいが離れると、メガネじじいは少し乱れた服を直してこっちを見た。 「あ、そっか!何もねぇけどよ!お前もこっち来いやァ」  言われて気付いたらしいヒゲじじいはガハハっと豪快に笑って手招きをする。  仕方なく俺も靴を脱ぐと畳に足を踏み出してすぐに座った。  布団も敷いてあるその部屋はほぼ布団で埋まっていたから。 「ごめんな。狭苦しいところで」 「まぁ、普段客なんて来ねぇからなァ」  また笑ってメガネじじいの手を握って、勢いよく振り解かれるヒゲじじい。 「獅子谷も来ないのか?」  聞いてみると、メガネじじいはふわりと笑った。 「レオちゃんは気遣ってくれてるんだよ」  その笑みはどこか寂しそうにも見える。 「あ?悪いな気ぃつかなくて」  二人きりにして欲しいのかと立ち上がろうとすると、メガネじじいは笑って手で否定をした。 「そういう意味じゃないよ。……僕はもう先が長くないからね」 「は?」 「レオちゃんは僕と元智が二人で過ごせるようにしてくれてるだけさ」  サラッと言われた言葉。  だが、ヒゲじじいがグッと拳に力を込めたのを見て真実なんだと悟った。

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