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 無言で振りかぶられて拳が飛んでくる。 「っぶねっ!!」  ギリギリ止めても重い拳に押されて俺の手の甲が鼻に当たった。  殴られたショックもあるが、間近で見られたパンチの勢いにドキドキもしてしまう。 「ヤベ……凄ぇ」  軽く感動してしまうと、それを見た獅子谷がガクッと首を折って俺の肩に頭をくっつけてきた。 「何感動してんだ、バカが」 「いや!だって!やっぱ勢い違ぇし、重っ!!ってなんじゃんっ!!」  獅子谷を支えてその顔を覗き込むと、獅子谷はフッと笑う。 「とにかく金は俺が出す!未成年の、しかも生徒にとかフザけんな!」  ピシッとデコピンされて、それがかなり手加減されていることに愛を感じた。 「恋人だし、俺がFXで自分の金あるのも知ってるのに?」 「俺だって相当返ってきたっつの」 「ヤーベぇ!俺ら金持ちじゃん!」  俺の口座と獅子谷の持つ滝本から戻ってきた金。  笑うと、獅子谷も「バーカ」と笑い出した。 「っし!なら買い物行こうぜ!」 「は?」  ギュッと抱き締めてから伸びをすると、獅子谷は明らかに嫌そうにする。 「食材と日用品ちょっとは要るだろ?」 「……面倒臭ぇ」  予想通りの反応に顔が緩むのを必死に堪えた。 「なら、シャワー軽く浴びるだけで抱いていいんだな?」  耳に口を寄せると、獅子谷はため息を吐く。 「あ?何言って……」 「今まで風呂もなかったし何もねぇんじゃねぇの?」  ニヤリと笑うと獅子谷はグッと睨んできた。

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