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日用品をいくつか買って騙し討ちのように鰻屋に連れ込むと、獅子谷は最初は怒り、次第に照れ始めた。
この変化にニヤつくのが止められない。
「さてと、精力もつけたことだし?」
「黙れ」
店を出て上に伸びながら見ると、フイッとそっぽを向かれる。
「ちょっと食材買って帰るか!」
「まだ行くのかよ」
肩に手を回すと、ピシッと手を払って獅子谷はため息を吐いた。
ダルそうなその言い方。
これは本当に面倒なんだろう。
「そんな早く帰ってシたいならご要望にお答えして?」
「っ……クソがっ」
今度は腰を引き寄せて耳に直接流し込むと、獅子谷はピクッと跳ねて俺を押してきた。
首筋まで赤くなったその姿を見て口の端が上がる。
「ヤーベぇ、今すぐにでもホテル連れ込みてぇ」
本音を漏らすことで冗談めかそうと思ったのに、
「は?何のために引っ越したんだよ」
パッとこっちを見られてアガってしまう。
「初エッチのため♡な?」
吐息を混ぜて囁いて、
「変な言い方すんな!」
入れてこようとする肘を受け止めて笑ってやると、獅子谷は舌打ちをした。
「やっぱすぐ帰んぞ!」
「は?」
「抱きたい」
その頬に触れると、獅子谷の顔がまた赤く染まる。
「おまっ、バっ……」
慌てる獅子谷の口を塞いですぐにでも押し倒してやりたかった。
こんなの……もう、我慢できる気がしない。
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