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教室に戻るとそこにはもうほとんど人も居らず、残っていた奴らも俺の顔を見てさっさと教室から出て行った。
「で?何とかって何だよ?」
イスに座って聞くと、祐生も俺の前の席に後ろ向きで座って背もたれを両手で掴む。
「あいつ、今肋骨折れてんの」
「は?」
眉を寄せてじっと握った背もたれを見つめる祐生にいつものテンションは欠片も見えない。
最近静かだったのは俺と亮雅が喋らないからだけじゃないらしい。
「圭斗さぁ、今は誰からもケンカ吹っ掛けられないだろ?」
顔を上げた祐生は今にも泣きそうな顔をしていた。
確かにそうだが、祐生がこう言うってことは……
「亮雅が引き受けてんのかよ」
「あぁ。それだけじゃなくて、誘いを断った女からの文句も遊ばれたって騒いできた女の始末も全部」
「……」
今まで好き勝手にしてきた。
ケンカしまくって、女とヤりまくって、またケンカして……。
他校だろうが、女の彼氏だろうが、突っ掛かってきたら全て買って叩きのめしていた。
“小さき百獣の王”に憧れて腕っぷしはかなり磨いたし、相当派手にしてきたのは事実。
あの佐田?佐尾?……あいつだけで終わるはずがない。
考えたらすぐにわかるはずなのに……。
「なぁ、圭斗ぉ。あいつ、マジでヤバいって」
「何で?」
今までそれに気付きもしなかった自分に腹が立つ。
「今日呼び出されてる連中、ヤクザ連れて来るかもしれねぇ!」
舌打ちをすると、俺はそのまま教室を飛び出した。
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