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 亮雅を捕まえているサングラスと金髪舌ピの男、殴っていた茶髪の短髪、中途半端な金髪と黒髪長髪の男の全部で五人。  今までなら楽勝だったかもしれない。  でも、亮雅は既に滅多打ち状態で男たちが手を離すとそのまま崩れ落ちてしまったし、俺は久々のケンカ過ぎて感覚が鈍っているのは確かだ。  避けたつもりなのにバットが僅かに首筋に触れる。  茶髪も加勢してきて腰に蹴りを食らった。 「ぐっ……」  咄嗟に受け身を取りつつすぐに体勢は整えて振り下ろされたバットからは逃げる。  光の届かないところも多くて見辛いが、パッと見、武器らしきものはこのバットくらいだ。  茶髪の蹴りを避けた拍子に金髪舌ピにぶつかって左腕を取られる。  ヤバいと思った瞬間に高架下の壁面に後頭部を持って頭を打ち付けられた。  頭への容赦ない攻撃にグラッと世界が歪む。 「圭斗っ!!」  だが、これまでの感覚で何とか足を振り上げて舌ピの顎を蹴り上げた。  どいつだかがピュゥッと鳴らした口笛に舌打ちをしながらクラクラする頭に手をやると、ヌルッとした血に触れる。  獅子谷にバレないとは思っていない。  でも、もうケンカはしないと誓い、獅子谷にもデリヘルは辞めろと何度も言ったことが少し心配になった。  怒る……よな。  思いつつ腕で垂れてくる血を雑に拭ってバットを避けつつその右腕を掴む。  脇腹に膝を入れてそのまま地面に倒すと、その横っ面に思いっきり拳を埋めた。

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