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「ガはっ!!」
右の拳を避けたのに腹に膝を食らってよろける。
更に振りかぶったのを見て咄嗟に後ろに跳んで逃れたがすぐ背中に壁が当たった。
拳が飛んできて避けた拳は壁に当たって鈍い音がする。
「チッ!!」
舌打ちを聞きつつ、そのまま俺も右ストレートに全力を込めた。
崩れて目を剥いたのを見つつ、ゼェゼェと息が切れるのを少しでも整える。
それでも額には脂汗が滲んで目も霞んできた。
「圭っ……!!」
ドゴッと音がして亮雅の呻く声を聞く。
あいつも蹴られたのだろう。
頭を振って正気を保とうとするのに、ヒド過ぎる頭痛で今どうなっているのかも確認できない。
「っ……ハァ……く、そ……」
フラつきつつあと二人居るはずの男を確認しようとすると、
「け、圭斗っ!!」
響いてきたのは祐生の声だった。
上擦ったビビっているのが丸わかりの声。
何でわざわざ……思いつつ、あいつも心配していたのをヒシヒシと感じる。
「あーっ!クソッ!!」
いつの間にか切れたらしく鉄の味がする気持ち悪い口の中を唾と共に吐き出して、汗を拭うと頬を叩いた。
俺はこの亮雅と祐生を連れて帰らないといけないから。
ちゃんと戻って獅子谷に怒られないといけないから。
「亮雅!祐生!ごめんなっ!!」
叫ぶと男たちが笑うのが聞こえる。
でも、そんなのどうでもよかった。
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