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「俺にも謝れ」  力も入り切らないまま何とか拳を握った瞬間に聞こえた声。  低いその声が少し震えている気がするのは気のせいだろうか? 「んだ、てめぇ」 「待てっ!!」  サングラスが近づいて来ようとすると、長髪が制して歩いてきた。 「……何で?」 「|壬生《みぶ》、久しぶりだな。悪ぃが、こいつら返してくれるか?」  獅子谷も歩いてくると、俺の横で支えてくれながら長髪を見上げる。 「獅子谷さん……」  驚いたような長髪はすぐにグッと唇を噛んで凄い勢いで頭を下げた。 「お元気そうで……よかった……」  顔を上げないままでその表情はわからないが、震えるその声は泣いている気もする。 「お前もな。悪かったな」 「いえ!!」  何の話か一切わからない。  でも、この長髪と獅子谷が知り合いであることはわかった。 「こいつらさ、俺の生徒なんだ。こんだけやれば……もう十分だろ?ダメか?」  祐生がビビりながら近づいて声を掛けている亮雅にも目をやって獅子谷は長髪と目を合わせる。 「いえ、獅子谷さんがそうおっしゃるなら……俺はもう引きます」 「そうか?悪ぃな」 「いえ!!」  ピシッと真っ直ぐ立つと、男はサングラスに言って伸びている男たちを引き摺って纏めさせた。 「壬生!ありがとな!」 「そんなっ!!獅子谷さんにはどれだけ世話になったか!」  それまでの会話で何となく関係は察したが俺は声も出せない。  男たちが消えて眉を下げた獅子谷にペチンと頬を軽く叩かれたが、俺はすぐに意識を失ってしまった。

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