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結局、大人しくしないなどど理由を付けられてケンカから二週間入院させられた俺。
目が覚めてから、獅子谷は一度も姿を見せなかった。
会いたくて仕方ないのに、謝ることも顔を見ることさえもできない辛さ。
ケンカしたことを反省はしている。
でも、後悔はしていない。
亮雅一人に背負わせたくはなかったし、そもそもの元凶は俺だから。
結局獅子谷に助けてもらったが知らん顔はできなかったから。
「よ!」
俺の部屋に入ってきた亮雅を見てため息を吐く。
「昨日、獅子谷来たって?」
「はぁっ!?いつ!?」
慣れたようにラグの上に座った亮雅に食い掛かる勢いで聞いてしまった。
「さぁ?圭斗の母さんがさっきそう言ってたの聞いただけだし」
その母親から預かってきたらしい飲み物とシュークリームの乗ったお盆は入ってきてすぐテーブルに置かれている。
「会ってねぇんだ?」
「あぁ。電話も出ねぇよ」
ベッドの上で大人しくしていた俺はスマホを放って立てた膝に頭を乗せた。
やはりさっき送ったメッセージも既読にはなるのに返信はない。
「……俺のせい、だよな?」
「は?そもそもお前が俺に巻き込まれてんだろうが!」
やたら深刻そうな顔をしているのが気に食わなくて枕を投げてやる。
「お前は自由にしろって。俺が調子乗ってアレコレ女に声掛けてたからだろ?」
「やっぱカッケぇんだよ!お前は!」
シュークリームをこっちに差し出して、亮雅はフッと笑った。
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