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207、第24話「許さない」
片方は松葉杖、もう片方は亮雅に支えられながらでクソダサいとは思う。
それでも母親に学校の前まで車で亮雅と共に送ってもらって何とか登校した。
途中から祐生も来てくれて両方から支えられつつ教室に辿り着く。
シンと静まった教室はかなりおかしな空気だが、そのまま支えられて席に着いた。
ざわつくこともない教室で謎の緊張感に包まれた教室。
「……祐生、お前何かしろよ」
「えー?……」
さすがに申し訳なくて無茶振りをすると視線が一気に祐生に集まって、祐生も戸惑ったように視線を俺と亮雅に向けてくる。
「俺らのこと気にしなくていいから」
「いや、そんなん無理だろ」
仕方なく言ってみると、亮雅がすぐにツッコんできた。
祐生がケタケタと笑ってやっと張り詰めていた空気が少し和む。
「空気凍るとかどんなんだよ」
亮雅がギッとイスを鳴らすと、
「え?じゃあ、空気入れ換えでもする?」
「バッカ!寒ぃわっ!閉めろっ!!」
どう解釈したのか祐生が窓を開けて、俺も即声を荒げた。
ビュッと冷たい空気が入ってきて喚く俺ら。
窓を閉めて祐生が口を尖らせると、次第に教室もいつものざわつきを取り戻していった。
チャイムが鳴って獅子谷が教室に入ってくる頃にはもういつもの通りで、ドアを開けた獅子谷がピタリと固まったのを見て、
「圭斗、来たよー!」
祐生が大声で叫んで手を振る。
特にその表情が変わったようには見えない。
再び動いた獅子谷は淡々と教卓の前に立って朝の出席確認を始めた。
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