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 病院に着くとちょうど渋谷が外で患者をタクシーに乗せて見送っているところだった。 「先生!お世話になっております」  俺の傍らに居た母親がにこやかに笑うのを見て舌打ちを堪らえる。  それに気付いた渋谷が少し笑って母親と穏やかな顔で話し出した。  余計なことしなくていい、とは思うが、最終的に渋谷が家に送ってくれることになって母親が帰ったのはありがたい。 「だから、診察して軽くリハビリかな?何かまた抱え込んだみたいだし?」  ニヤリと笑われて肩を竦める。  本当に人の顔色をよく見ている。 「なぁ、これ、明日治んねぇ?」 「はぁ?まだ二週間ちょっとだろ?あと二週間はそのままだよ!」  そのまま診察室に通されて聴診器を当てられながら聞くと、呆れたような顔をされて「だよなぁ」とため息を吐いた。 「何で?どうせ怜旺絡みだろ?」  その通りだし、どうせバレるのだからそこは素直に頷く。 「あいつ、ケガ治るまで触んなって」  足を広げてイスの前部分に両手をつくと、渋谷はメガネを押し上げてこっちを見た。 「あのさぁ、きみらめちゃくちゃオープンなのわかってる?」 「は?」 「幼なじみに男の恋人ってことだろ?」  言われてそういえば気にしていなかったことに気付く。 「あー……引く?」 「まぁ、とっくに気付いてたし……きみらが幸せならいいんじゃないか?」  考えつつ聞くと、渋谷はフッと笑みを溢した。

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