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 スマホに連絡したら即捕まると思ったからメモにしたのに、バス停に着く前に着信がきて焦る。  とりあえずバス停までは歩いて確認すると、やはり電話は渋谷からだった。  これ以上心配させるのも気が引けて電話をしたら相当あれこれ言われたが、最終的には納得してくれた。と思う。  バスに乗って、駅で電車に乗換えて……正直電車を降りてからがかなりキツかった。  カバンを置いて来ればよかった、と本気で後悔したほどに。  かなり息が切れて、腕はプルプルしてしまうし、正直松葉杖で立っているのもキツい。  前のアパートと比べれば駅からの距離は半分以下だが、近いと思ったその距離も教科書がそれなりに詰まったカバンと松葉杖ではかなり遠く感じた。  エレベーターで五階まで来ても息は全く整わない。  なのに腕を動かすのもキツくて、見ると手にはいくつかマメができていた。 「……マジか」  エレベーターの中で足を止めたからか、うまく力が入れられずまたドアが閉まる。 「っ……くっそ……」  手を伸ばしたが、バランスを崩してエレベーターの中で倒れ込んだ。  倒れた拍子に松葉杖が脇腹に刺さって痛い。  情けなく思いつつもスマホを手にすると、俺は獅子谷に電話を掛けた。  カッコはつかないがそんな場合でもない。 「……何だよ」 「助けて」 「は?」  切られてしまう前に助けを求めると、呆れたような声が返ってくる。  エレベーターの中で動けなくなったことを伝えると、獅子谷はすぐに来てくれた。

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