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 肩を貸してくれてリビングダイニングのソファーまで運んでくれたことにホッとする。  会ってくれないか、「帰れ」と追い返される気もしていたが……とりあえず入れてくれたことに安心した。  一応触れて支えてくれたことも。だが、 「で?」  冷ややかなその目に気の利いた言葉なんて思い浮かばない。 「ごめん」 「それは何に対してだ?」  両腕を組んで睨まれて身を縮める。 「あれもこれも全部」 「俺はケガを直せと言ったはずだろ?こんなこと……悪化するって思わなかったのか?」  ギュッとスラックスを掴んで頭を下げていると、後頭部に軽くチョップされた。  かなり力加減されたのは俺のケガを労ってだろうか? 「どうしても謝りたかったんだよ」  顔を上げると、獅子谷はまた腕を組んでじっと見下ろしてくる。 「あのなぁ、順から電話掛かってきたんだよ。お前が無茶してるから出で様子見てやれって」  本当、渋谷には世話になりっぱなしだと苦笑いするしかない。 「凄ぇな、あいつ」 「勝手にあいつに借り作んなよ」 「悪ぃ」 「そのせいで今度から毎月十五日に病院行くことになっただろうが」 「は?何で……?」  ドカッと俺の横に座った獅子谷を見ると、獅子谷はじっと前だけを見つめて口を開く。 「したら、母さんの誕生日も会えるからだとよ」  言いながらもソファーに凭れ掛かった獅子谷はどこかホッとしているような表情にも見えた。

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