217 / 258
217、第25話「★……仕方ねぇなぁ」
そろりと手を伸ばすと、バチンと容赦なく叩かれる。
「何でっ!!」
「何でじゃねぇわ!むしろ、何でイけると思ってんだよ!」
呆れたような顔をされて口を尖らせてみた。
何を言ってもムダなんだろうか?
「もうキズつけたくないんだよ」
「は?んだそれ。なら大人しくしとけよ」
「あんただって寂しいくせに?」
「はぁっ!?」
バッとこっちを見てきたその顎を素早く掴んでキスをする。
そのまま唇を押し付けてみても、獅子谷は逃げなかった。
そろりと目を開けてみると、獅子谷の目は逆にゆっくり閉じられていく。
腕を回して抱き寄せつつ角度を変えてキスをして、長くその軽く触れるだけを繰り返した。
「ごめん」
まだ唇が触れるくらいの近さで言うと、
「……許さねぇ」
言いつつも獅子谷がまた唇を重ねてくる。
「……ん…………」
やっと離れた獅子谷が無言で俺の下半身を見てきて、俺はもう開き直った。
足を開いて座ったまま片眉を上げて笑って誤魔化す。
「……ヤんねぇぞ」
「わかってるよ。さすがに今は踏ん張り効かねぇっつの」
フーと息を吐き出して何とか落ち着けようとは思うが、意識すればするほど落ち着く気配はない。
「今、なかなか一人でもやれてねぇからだって……ほっとけ」
ガシガシと頭を掻いてソファーの背もたれに身体を預ける。
少し目を閉じて気を逸らしていれば……。
なのに、
「……バーカ」
俺の膝に触れる感覚がして目を開けて確認すると、獅子谷は俺の足の間に居た。
ともだちにシェアしよう!