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「獅子谷のあの目!!マジで心臓止まるって!なぁ!?」
獅子谷が教室から出て行って、クラスの奴らもガヤガヤと冬休みモードになっていると祐生が同意を求めて顔を近付けてくる。
その額にデコピンを入れてやると更に喚いたが、俺の隣の亮雅も軽くあしらうだけだった。
「お前はさっさとココロちゃんとこに行けばいいだろ?」
「今日はユマたちと女子会だってぇ」
ブーっと亮雅に向かって口を尖らすその横っ面を弾いてやると、祐生はまたギャーギャーと騒ぐ。
「女子会ねぇ」
机に肘を付いて笑うと、祐生もイスに後ろ向きに座って前のめりになってきた。
「だから、俺らも遊ぼう!って!」
「面倒臭ぇ」
「えー、明後日クリスマスイブだぞ?毎年女の子いっぱい呼んではしゃいでたじゃん!」
祐生の頭の中は遊ぶのと女しかないらしく、その短絡さに哀れみさえ覚える。
今回はなかなか諦めない祐生にどうしたものかと思っていると、
「……あ、ユマちゃん?」
亮雅がスマホを耳に当てて話し出した。
「はぁっ!?」
慌てたのは祐生。
「祐生の奴が女……」
「バっ!!ちょっ!!」
焦って俺の机まで押してズラしながら亮雅のスマホを取り上げる。
「いや!大丈夫!!心と明後日何するかの相談してただけぇ!」
すぐに誤魔化すのは余計怪しい気もするがいいのだろうか?
「え?わっ!!心!?違うって!そんなエッチな話はしてないよぉ〜」
バカップルの会話は聞いているだけでげんなりした。
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