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診察の後も待たされていると、
「仲いいなぁ?」
やって来た渋谷にニヤニヤと笑われて「だろ?」と笑っておく。
亮雅はもう否定もしなかったので俺は肩に回した手でポンポンとその腕を叩いておいた。
「でも、先生、こいつ今は浮かれてるから、企みなら圭斗は抜きにした方がいいかも」
「あ、それは無理だなぁ!椎堂くんがキーだから」
何でだ!と亮雅に食い付く前に渋谷に笑われて、俺はそのままソファーに座る。
渋谷が紙を見せてきて、俺と亮雅はそれを覗き込んだ。
「クリスマス大作戦?」
「はぁ?」
さっきまで浮かれていたそのワクワクが崩されそうな雰囲気に眉を寄せる。
「今年はここでパーティーしようと思ってな?」
「いや、俺はバイト」
即座に抜ける宣言をする亮雅に驚きが隠せなかった。
「は?バイト?そんなんどこで?いつから?」
聞いたこともなくて詰め寄ると、渋谷がくすくすと笑い出す。
「あれ?言ってなかったんだ?」
「……ワザとでしょうが」
ため息を吐きつつ睨む亮雅に見られて渋谷はニヤリと笑った。
「だから、八神くんはお店からデリバリーよろしくな?」
亮雅がイタリアンの店で働いていることも織り込み済みらしく、そんなことさえ知らなかった俺はおもしろくない。
「椎堂くんは怜旺をデートに誘って!」
「は?」
複雑なままぼんやりやり取りを見ていたのに、急に振られて声が裏返る。
「実を乗せてそのまま二人を拾うから」
「へ?」
更に出てきた名前に驚きが隠せなかった。
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