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 唇を離すとトロンとした顔でしがみついたまま見上げてきたくせに、 「……あ?」  急に目を細めて睨んできてもう笑うしかない。 「マジで寝起きヤバ過ぎんだろ」  抱き締めてやると、舌打ちをされた。 「恋人がやって来たってのにそれはなくね?」 「……眠ぃんだよ」  拗ねるフリをしてやると、獅子谷は俺の胸に顔をつけて目を閉じる。 「そんな遅くまで飲んでたのかよ」 「違う」 「じゃあ、何?」  聞いても獅子谷が答えなくてその顔を覗き込んだ。 「っ……見んなっ!!」  なぜか真っ赤な獅子谷。 「は?」  首を傾げるとなぜか腹に拳を入れられる。  ギリギリで受け止めてもう一度しっかり見ようとすると、獅子谷は俺の背中に手を回してくっついてきて顔を隠した。 「何で照れてんの?」  赤いその耳に直接聞いてみても、ピクッと跳ねて顔は上げない。 「……抱いてい?」 「……」  すぐに否定されると思ったのに答えないのは? 「怜旺?」  耳を撫でつつ首にもキスをすると、獅子谷は僅かに吐息を漏らしながらギュッとしがみついてくる。 「……でも、朝も昼も食ってない」 「俺の喰わせてやろっか?」  その太腿に押し付けてやると、 「どこのクソオヤジだよ」  獅子谷がジト目を向けてきた。  少し笑ってからその唇にキスを落として、 「何食いたい?」  買ってきた食材の入ったカバンを見せてやる。 「……マジメか?」  少し不満げにする獅子谷を見て笑ってしまった。

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