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 しばらくすると亮雅がやってきて、ピザとチキンなどの詰め合わせ、そして、プチケーキが届けられた。 「マジでバイトしてんだな」  受け取りながらその姿をじっくり見ると、亮雅は羽織っているダウンジャケットを合わせて制服を隠そうとする。  その白シャツに緑のネクタイを見ていると、 「お前、マジでイタリアじゃねぇか」  俺の口から本音が漏れて、亮雅は思いっきり睨んできた。  嫌なら赤髪を違う色に染めればいいのに。 「いい匂いだなぁ」  匂いに釣られて滝本が近づいてくると、 「典子さん、大好きなシーフードたっぷりのピザもありますよ?」  渋谷が枕元に近寄って優しく話し掛ける。 「ん、コレ。先生に頼まれてたジンジャーエール」 「は?」  亮雅に渡されて首を傾げると、獅子谷がフッと笑った。 「お前ら……これ、だいぶ前から準備してただろ」  目を向けられて俺も渋谷を見る。 「怜旺の家はいつもシーフードピザとジンジャーエールだからな!」  滝本がニッと笑うと、渋谷はフォークを手に取って何かを刺した。 「で、怜旺はソーセージな?」 「は?」  太いそのソーセージを見て獅子谷を見ると、獅子谷はプイッとそっぽを向く。  笑いが止まらない俺と顔を赤くする獅子谷。 「何、どうした?お前の好物だろ?」  不思議そうな渋谷の手からソーセージだけを抜いて俺は獅子谷の腰を抱き寄せた。 「大好きなんだ?コレ」  笑って口元につけてやると、睨みつつも獅子谷が勢いよく噛み千切る。  笑い続けて時間なんてあっという間だった。

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