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246、第28話「★甘く蕩けて」
玄関のドアを開けた瞬間に獅子谷を抱き寄せて、閉まるドアに押し付けながら唇を塞ぐ。
冷たい頬に触れて、そのまま舌を深く挿し込んだ。
「んっ……あ……」
あまりにもの余裕のなさに自分でもどうかと思うが止められない。
キスを繰り返しながら獅子谷のコートを剥いで、ニットの裾から手を入れる。
俺の手の冷たさに身を竦めた獅子谷も手を伸ばしてきて、俺のダウンジャケットを脱がしてきた。
「ヤベ……寒ぃな」
「当たり前だ。冬ナメんなよ?」
震えると、獅子谷は少し顔をトロンとさせながら乱れた息を整える。
そして、捕まえようとした俺の脇をすり抜けてリビングに入ると、獅子谷はさっさと電気を点けて暖房をつけた。
「なぁ、椎堂」
獅子谷のコートも拾ってとりあえずリビングのソファーに置くと、獅子谷に呼ばれて振り返る。
「ん」
獅子谷は黒に銀のリボンが結ばれた箱を差し出してきて、そのまま逃げようとした。
捕まえてソファーに一緒に腰を降ろすと後ろからしっかりと抱き締める。
「っ……離せ」
「嫌だね」
ギュッと抱き締めながら手渡されたその箱を見つめた。
「クリスマスプレゼント?」
「そうだよ!だから、離せっ!!」
やけに照れる獅子谷なんて離せるわけがなくて俺はしっかり抱き締めたままその箱を大事に持つ。
「俺のプレゼントはあっちにあるから……先に見ていい?」
「いいから離せって!」
どうしても逃げ出そうとする獅子谷を抱き締めて首の後ろにキスをしてから俺は箱を開けた。
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