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「んっ……」  肩を揺すると、獅子谷がギュッとさっき掴んだ俺の腕に擦り寄ってくる。 「襲われたいのか?」 「……うん」  思わず聞くと、ぼんやりと目を開けた獅子谷がにこっと笑った。  この反応はわかっているのかいないのか? 「朝」 「あさ?」  トロンとした顔のオウム返しにやはりまだ寝ぼけていると確信する。 「好き」 「すき」  掠れた声で返ってきた言葉を聞いてキスをしてやると、嬉しそうにして獅子谷が抱き着いてきた。  できるならこのままのんびりと過ごしたい。  この甘く穏やかな時間を共有したい。だが、 「ーーーっっ……くっそ……」  しがみついていた獅子谷が体の向きを変えようとして呻き、舌打ちをした。  どうやら起きたらしい。  怠そうにして腰を擦るのを見て支えてやる。  枕を重ねてベッドボードに寄り掛からせると、獅子谷はもう一度舌打ちをした。 「お前……」  言いかけて、掠れたヒドい声を自覚したらしく口を閉じる。 「ん、ちょっと飲んだら?」  カップを差し出すと、訝しむような顔をして獅子谷がその中身を見た。 「ホットレモン。喉痛いだろ?」 「クソが……誰のせいで……」 「俺だろ?だから、作ってきたんだって」  まぁ、抱き潰した後に飲ませるつもりではなかったんだが仕方ない。 「チッ…………アチッ!!」  また舌打ちをした獅子谷がカップに口をつけてすぐにパッと口を離す。 「更に猫舌とか……どんだけネコだよ」 「あ"?」  睨まれて俺は獅子谷のカップにただフーフーと息を吹き掛けた。

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