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大人しくただ風呂で終わるはずがなく、
「……お、前……マジ……死ね」
息を切らせながら言われて肩を竦めることしかできない。
全身拭いて服を着せてやって……とりあえず小さめに切った野菜を煮込んだポトフとパスタを準備する。
「後でマッサージするか?」
「いい。やめろ」
即答されて拗ねて見せても獅子谷には睨まれた。
「お前の頭ん中はヤることだけか?」
「いーや?怜旺がかわいいなぁ、とか」
「は?」
更にその眉が寄る。
「“けーと”ってトロンとしてたのなんてかなりキたし、本当“最強の嫁”だよなぁ、とか?」
「あ"?」
ドスの効いた声はさすがにヤバいと口を閉じた。
本当に寝起きは天使のようなのにこの迫力。
マジで最強だろ?
だが、よく考えたらエロに直結することばかり口にしたことに気付いて苦笑いをするしかない。
「この絶倫野郎が」
「褒め言葉?」
ニッと笑うと拳が飛んできて慌てて受け止めた。
クッ、と眉を寄せたのは腰にきたからだろう。
「無理すんなって……食ったしベッドでちょっと休むか?」
親切心で聞いているのに、向けられるのは訝しむような目。
まぁ、その原因は俺だから仕方ない。
盛りまくって抱き潰したのに更に欲情してしまったのだから。
「本気で……何もしない。誓う」
両手を肩の上に挙げて真剣に獅子谷を見ると、獅子谷はカップから手を離してイスに凭れ掛かった。
「……辛い。運べ」
何もしないとは言ったが……キスくらいはいいだろうか?
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