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口づけをもう一度
<sideクリス>
トモキに黙って唇を奪ってしまった以上、それをトモキに告げないわけにはいかない。
正直に謝罪をした上で、トモキと口づけをしたことは後悔していないと伝えた。
そして、私はトモキを愛していると告白すると、トモキは顔を真っ赤にして驚いていた。
「トモキ……私の気持ちに嘘偽りはない。トモキはどうだ? 私を愛しているか?」
「あの……僕……」
「どうした? トモキの気持ちを聞かせてくれないか?」
トモキを抱き寄せながら、必死に懇願するとトモキは私の腕の中で顔を隠しながら
「あの、僕……誰かを好きになるとか、あ、愛するとか……そういうの、今まで無くて……クリスさんが僕に思ってくれるのと、僕のクリスさんへの気持ちが……その、同じかはわからない、んですけど……でも、クリスさんのこと……好きです」
と必死に思いを告げてくれた。
初めて人を好きになって戸惑っているのか……。
ああ、なんと初々しくて可愛いのだろう。
「トモキっ!!」
「わぁっ!!」
あまりにも気持ちが昂りすぎて強く抱きしめると、トモキは驚きの声を上げた。
「ああ、悪い。つい、嬉しすぎて。理性が効かなかった」
「あの、僕が好きだって、言っただけでそんなに嬉しいですか?」
「もちろんだ! 初めて心から愛した人と心が通じ合ったのだぞ。嬉しくないわけがない」
「クリスさん……」
トモキは私の言葉に嬉しそうに抱きついてきた。
「トモキ……もう一度口づけをしてもいいか?」
「えっ……いま、ですか?」
「ああ。ちゃんとトモキの意識がある時に口づけをしたいんだ」
「え、っと……あ、あの……ど、どうぞ」
「えっ?」
一瞬聞き間違いかと思ってしまった。
まだ早いと断られるとばかり思っていたから。
でも、目の前にほんのりと頬を染めて、ぎゅっと目を瞑ったトモキが私を見上げている。
まずい、興奮しすぎて鼻血が出てしまいそうだ。
だが、ここで口づけをしないなんて選択肢あるわけない。
私は緊張と興奮に胸を震わせながら、トモキの唇にそっと自分のそれを重ね合わせた。
初めてなのだし、そのまま唇を離すつもりでいたのに……。
「んっ……」
「――っ!!!」
トモキの可愛い吐息に一気に昂った私はそのままトモキの後頭部に手を回し、貪るように唇を食んでしまった。
「んんっ……んっ、んふぅ……っ」
トモキが息継ぎのために唇を開いた一瞬の隙に、己の舌をトモキの口内に滑り込ませた。
トモキにしてみれば想定外の出来事だったのだろう。
身体をピクンと震わせていたが、あまりにも興奮している私はここで止められない。
トモキの甘い口内を余すところなく堪能し、小さくて可愛らしい舌に絡ませ吸いあげれば甘い唾液に蕩けてしまいそうになる。
ああ、なんて甘さだ。
やはりトモキは私の運命なのだな。
「んふぅ……んんっ!!」
苦しげなトモキの吐息に名残惜しく思いながらも唇を離すと、トモキはぐったりと私にもたれかかってきた。
「トモキ!」
初めてだというのに無理をさせてしまった。
これでトモキが口づけを嫌いになってしまったら……。
などと思っていると、
「ぼく……ちゃんと、できて、ましたか……?」
と小さな声が耳に入ってくる。
「それはどういう意味だ?」
「き、す……あっ、えっとくちづけは、はじめてだから……クリスさんの、おもってたように、できたかしんぱいで……」
「――っ!!!」
ああ、なんてことだ。
私が自分の欲望のままに口づけをしてしまったというのに、トモキは私の心配をしてくれるなんて……っ。
「私もトモキ以外を知らないが、トモキとの口づけが最高だよ。気持ち良すぎておかしくなりそうだ」
「ふふっ。それならよかった……あの、ぼくも……きもちよかったです……」
「――っ!! ああ、トモキはどれだけ私を煽るんだ? このまま全てを奪いたくなるじゃないか」
「えっ? あおる? って、なんですか?」
「はぁーっ、トモキ……」
「???」
ビスカリア王国でトモキの年齢であれば、色事を知らないものはまずいないからな。
トモキが特殊なのかはどうかわからんが何もかも知らない初心で、私の手で染め上げるということか……。
考えるだけで滾ってくる。
すでに服の中で首をもたげている愚息を必死に叱りつけながら、とりあえず寝室から出ようと声をかけた。
このまま奪うにしては何も準備も整っていない。
このままがっついて仕舞えば、2、3日食事を与えないことになりかねん。
まずは食事をさせないとな。
夜までに少しはトモキに交わりについて話をしておくとするか……。
うまく話せるか少し心配であるが……。
とりあえず、我々の未来のためにやるしかないだろう!
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