40 / 108
第6話 愛しい人へ捧ぐ未来(7)★
「んっ、あ、あぁ!」
余裕がないのはお互い様だ。荒々しい腰使いに翻弄されつつ、侑人も夢中になって高山のことを貪り尽くそうとする。
深く咥えこんだそれを締め上げれば、やがて高山の息遣いが荒くなり、絶頂が近いことを悟った。
「うあっ、あ、たかやまさん……っ!」
「っ、このまま出していいか」
「ん、うん……うんっ――」
こくこくと頷いたのちに、再び唇を重ねる。
奥のさらに奥まで穿たれた瞬間、高山の低い呻き声が聞こえた。
「んぅ、ん、んんーっ!」
唇を重ねたまま、ほぼ同時に絶頂を迎える。
体内にたっぷりと欲望を注ぎ込まれながら、侑人もまた白濁を飛び散らせていた。熱い飛沫を受け止めながら、眩暈のような陶酔感を味わう。
(あぁ……中出しされてる――高山さんの、すごく熱い……)
そうしてすべて出し切ったところで、ようやく唇が解放された。
唾液で濡れた口元を拭うこともせず、ただ荒い呼吸を繰り返して、そっと身を寄せ合う。
「……すげえよかった」
しばらく余韻に浸っていたら、不意に高山が頭を撫でてきた。
そのまま体を離そうとしたので、侑人は腕を回して引き留める。そして、甘えるように肩口に顔を埋めた。
「もう少し、このままがいい」
体内に埋め込まれた高山の分身は硬いままで、ドクンドクンと力強く脈打っている。その存在感に恍惚としながらも、しばらくは静かに抱き合っていたのだった。
シャワーを浴び終えた頃には、時計の針は午前二時を回っていた。
「腹、大丈夫か?」
「……平気。ちゃんと後処理したし」
「じゃあ、なんでさっきから布団被ってんだよ」
遅れて浴室から出てきた高山が苦言を呈してくる。
ベッドの上では、侑人が頭からすっぽりと布団を被っていた。
(どんな顔したらいいかわからない……っ)
侑人は少しだけ顔を出して、おずおずと高山の顔を見上げる。
行為中は夢中で求め合っていたけれど、冷静になってみると、気恥ずかしさが込み上げてならなかった。あのような告白をあとに、平常心でなどいられるものか。
「おい、侑人」
呼びかけられると、侑人の視線が勝手にそっぽを向いた。
「……から、やだ」
「なんだって?」
「恥ずかしいからやだ、つってんだろ!」
「? 今さらおかしなヤツだなあ」
首を傾げながらも、高山はバスローブに袖を通す。ベッドに腰を下ろし、それから「ああ」と思い出したように再び口を開いた。
「そういや、前から訊きたかったんだが。今まで誰かと付き合うような真似しなかったのはどうしてだ?」
「はあ? なんだよ突然」
「いや、だって俺が初めての相手なんだろ? 高校んとき以来、気になるヤツとかできなかったのかと思って。セフレにしたって、他の男と関係持たなかったみてーだし」
「それはなんつーか、大してその気にならなかったというか」
「ふうん? ま、そのおかげで、俺はお前の傍にいられたからいいんだけどな」
「………………」
言われて、はたと気がつく。以前の自分は、体の相性がいいから関係を続けていたとばかり考えていたのだが、やはり妙かもしれない。
ともだちにシェアしよう!