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第6話 愛しい人へ捧ぐ未来(7)★

「んっ、あ、あぁ!」  余裕がないのはお互い様だ。荒々しい腰使いに翻弄されつつ、侑人も夢中になって高山のことを貪り尽くそうとする。  深く咥えこんだそれを締め上げれば、やがて高山の息遣いが荒くなり、絶頂が近いことを悟った。 「うあっ、あ、たかやまさん……っ!」 「っ、このまま出していいか」 「ん、うん……うんっ――」  こくこくと頷いたのちに、再び唇を重ねる。  奥のさらに奥まで穿たれた瞬間、高山の低い呻き声が聞こえた。 「んぅ、ん、んんーっ!」  唇を重ねたまま、ほぼ同時に絶頂を迎える。  体内にたっぷりと欲望を注ぎ込まれながら、侑人もまた白濁を飛び散らせていた。熱い飛沫を受け止めながら、眩暈のような陶酔感を味わう。 (あぁ……中出しされてる――高山さんの、すごく熱い……)  そうしてすべて出し切ったところで、ようやく唇が解放された。  唾液で濡れた口元を拭うこともせず、ただ荒い呼吸を繰り返して、そっと身を寄せ合う。 「……すげえよかった」  しばらく余韻に浸っていたら、不意に高山が頭を撫でてきた。  そのまま体を離そうとしたので、侑人は腕を回して引き留める。そして、甘えるように肩口に顔を埋めた。 「もう少し、このままがいい」  体内に埋め込まれた高山の分身は硬いままで、ドクンドクンと力強く脈打っている。その存在感に恍惚としながらも、しばらくは静かに抱き合っていたのだった。       シャワーを浴び終えた頃には、時計の針は午前二時を回っていた。 「腹、大丈夫か?」 「……平気。ちゃんと後処理したし」 「じゃあ、なんでさっきから布団被ってんだよ」  遅れて浴室から出てきた高山が苦言を呈してくる。  ベッドの上では、侑人が頭からすっぽりと布団を被っていた。 (どんな顔したらいいかわからない……っ)  侑人は少しだけ顔を出して、おずおずと高山の顔を見上げる。  行為中は夢中で求め合っていたけれど、冷静になってみると、気恥ずかしさが込み上げてならなかった。あのような告白をあとに、平常心でなどいられるものか。 「おい、侑人」  呼びかけられると、侑人の視線が勝手にそっぽを向いた。 「……から、やだ」 「なんだって?」 「恥ずかしいからやだ、つってんだろ!」 「? 今さらおかしなヤツだなあ」  首を傾げながらも、高山はバスローブに袖を通す。ベッドに腰を下ろし、それから「ああ」と思い出したように再び口を開いた。 「そういや、前から訊きたかったんだが。今まで誰かと付き合うような真似しなかったのはどうしてだ?」 「はあ? なんだよ突然」 「いや、だって俺が初めての相手なんだろ? 高校んとき以来、気になるヤツとかできなかったのかと思って。セフレにしたって、他の男と関係持たなかったみてーだし」 「それはなんつーか、大してその気にならなかったというか」 「ふうん? ま、そのおかげで、俺はお前の傍にいられたからいいんだけどな」 「………………」  言われて、はたと気がつく。以前の自分は、体の相性がいいから関係を続けていたとばかり考えていたのだが、やはり妙かもしれない。

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