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小ネタ 体型が気になる年頃なので…

「侑人。メシ、そんなもんでいいのか?」  夕食中、ダイニングテーブルの向かいに座っていた高山が声をかけてきた。侑人は咀嚼し終えたのちに、こくりと頷く。 「最近ちょっと太ったから、食事の量減らそうかと」  気まずいながらに答えれば、高山は不思議そうな表情を浮かべる。「ふうん?」と相槌を打ちつつ、何故かこちらの皿へおかずを追加してくるではないか。 「おいっ、人の話聞いてないだろ! なんで食わせようとすんだよ!?」 「いや、見た目的に変わんねえし。せっかく作ったんだから、腹いっぱい食ってほしいと思って」 「あんたは俺のばあちゃんかっ!」  勝手に盛られた皿を押しやるも、高山は気にした様子もなく。それどころか、おかずを箸でつまんで口元まで運んでみせる。 「ほら」  戸惑いを隠せないこちらをよそに、口を開くよう催促するものだから参ってしまう。  差し出されたものを渋々と口に含むと、侑人好みの味つけが口いっぱいに広がった。咀嚼するさまを高山は満足そうに眺めながら、ご丁寧に次のおかずを口元まで運んでくる。 「っ、バカ」  思わず流されそうになったが、ワンテンポ遅れてハッとした。これ以上調子に乗られては困ると、ぶっきらぼうに顔を背ける。  それでも高山は穏やかに目を細めていて、クスクスと笑うのだった。 「べつに体型が変わったとしても、侑人は侑人なんだし。俺は気にしないけどな」 「そうは言ってもさ」 「じゃあ、仮に俺の腹が出たとして。お前は嫌になるのか?」 「それは無い……けど」 「な、同じだ」  爽やかな笑顔で断言する高山に、不覚にもドキリとしてしまう。  こうして甘やかされるのは満更でもないし、愛されている実感がわいて仕方ないのだが――侑人はややあって首を横に振った。 「やっぱ、やだ。俺はいつまでも、その……ちゃんと抱かれる側でいたいし。そういったことには気をつかいたいんだよ」  気恥ずかしさを感じながら訴えると、高山はきょとんとした顔になる。それから、「そうか」と静かに呟くと、 「わかった。なら、ヘルシーなメニューでも勉強しとくか」 「は? なにも高山さんがそんなことしなくてもっ」 「何言ってるんだ。好きなヤツに何かしてやりたい、って思うのは当然だろ?」  と、相変わらずといってはなんだが、歯が浮くような台詞が飛んできた。しかも、ごく自然に。 (高山さんって、ほんっと甘すぎる!)  返す言葉が見つからず、侑人は唇を尖らせて黙り込んでしまう。  ただ、高山が自分のためを思ってくれるのも、意思を尊重してくれるのも嬉しくて、遅れて「ありがとう」と一言だけ伝えたのだった。

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