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第2話-2

 しかも感じる場所を柔らかく掠めるだけ。そのもどかしい愛撫に慣れているはずなのに、始まればすぐに隆則は熱い吐息を漏らしてしまう。両掌が慎重に高価な商品を確かめるような動きをするが、触っているのはもういい歳の男だ。昔のように肌の弾力もないし瑞々しさも抜けてきている。しかも使用しているボディソープはミントの匂いがきついものだ。 「……焦らすなよっ」 「そんなことありませんよ、隆則さんを大事にしたいだけです……こうやってね」 「ぁっ……」  触れるだけの優しいキス。何度も何度も優しく啄まれもどかしくなる。でも自分から求めるなんて早く犯されたいと思ってるみたいで、本当は舌を絡めた濃厚なキスがしたいのにはしたない自分をぐっと押し隠す。ただ遥人にされるがまま学生のようなキスを繰り返し優しい手に身を委ねる。腹部の感触をたっぷりと味わった手は次にと脇腹を、そして背中を辿って臀部へと辿り着く。 「隆則さん座ってばかりなのに、お尻の形綺麗ですよね」  啄むだけのキスの合間に遥人が嬉しそうにそこを軽く揉みながらからかってくる。 「うるさいっ」 「俺好きですよ。いつ見ても興奮する……ねぇここに俺以外のヤツ触ってないですよね」 「……当たり前だろ」 「良かった。……もう俺専用なんですからね、隆則さんの全部は」 「うるさい……わかってるよ」  吐き捨てながらも、首筋が赤くなっていくのが分かる。この年下の男が時折垣間見せる独占欲が何よりも嬉しくて、そこまで欲しがられているのが恥ずかしくて、本音が心の中に隠されていく。  本当は君に初めて会ったあの時からずっと惹かれていて、今も恋しているなんて恥ずかしくて言えない。恋人と呼ばれ一緒に住んでいる今だって、その姿を見ては胸が熱くなってしまうし、頬にキスされるだけで舞い上がってしまいそうになってしまう。昨日よりも今日、今日よりも明日、好きな気持ちが強くなり、まるで初恋を知ったばかりの子供のようでただただ恥ずかしい。  だから、こんな自分を隠すように俯いてしまう。 「隠さないで。気持ちよくなってる隆則さんの顔、見せて」 「……見たってつまんねーだろ。やめろよぉ」  顎を掴まれて少し強引に上げさせられる。 「やっぱり可愛い」 「……ばかっ」  憎まれ口はキスで塞がれ、今度は欲していた濃厚なキスが始まり無意識に隆則は逞しい遥人の腕を掴んだ。まだ二十台の弾力のある筋肉の感触を味わいながら、少し厚みのある舌を堪能する。

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