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第2話-3

(相変わらず、キス巧い……)  どこでこんな技術を身に着けたんだよと静かな嫉妬が心に宿っていく。絡まった舌が立てる濡れた音に徐々に体温を上げながら同時に分身と最奥が戦慄く。たっぷりと舌を絡ませては巧みにくすぐられ、それだけで息が上がる。時間をかけたっぷりと口内だけじゃなく唇まで舐められ口全体を犯されて、ただキスをしてるだけなのに、隆則は立ってるのがやっとになり、倒れないように遥人にしがみ付く。 「キスだけで感じちゃうなんて、隆則さん可愛いね」  お前のキスが巧すぎるからだ。  吐息も唾液も全部吸い尽くすような、そこからどろどろに溶かされるようなキスをされて身体がぐずぐずになってしまう。もう最奥から全身が熱くなり早くそこを埋めて欲しくてどうしようもない状態だ。 「もう立てない? ベッドに横になる?」  口を開けば恥ずかしさに悪態を吐いてしまいそうで、遥人の首筋に顔を埋めながら小さく頷いた。耳殻を嬉しそうな吐息が掠めた。きっと今、遥人は嬉しそうな顔をしているはずだ。こうやって甘えられるのが大好きだから。普段の隆則は甘えるどころかツンケンとしてしまうことが多いせいだと分かっているが、こういう時でなければ年下の男に甘えられない。  ヒョイっと抱き上げられ、すぐそばにあるベッドに下ろされると遥人はすぐに覆いかぶさってくる。そしてまたあの啄むだけのキスから始められた。何度も啄んでは舐めて唇から溶かしていく。どんなに唇を開いて舌を招き入れようとしても、からかうように甘いキスばかりをしてきては掠めるだけのもどかしいくらい優しい愛撫。 「あ……」  だけど、その手が胸の飾りを掠めた時、今まで頑なに声を出さなかった隆則から甘い声が零れた。 「ここ好きだもんね……もっといっぱい弄って欲しい?」  ここと興奮に勃ちあがった胸の飾りを突かれてまた、甘い吐息が零れ落ちる。 「ねぇ言って。どうして欲しいの隆則さん?」  爪弾かれ、早くとばかりに答えを催促される。でもまだ矜持が残っている隆則は素直にねだることはできない。 (察しろよ、バカっ)  心の中で悪態を吐きながら、自分からそこを差し出すように遥人の手に押し付ける。それが精いっぱいだ。だって、自分は遥人よりも15歳も年上で、本当だったらリードする側なんだから。なのに、年若い恋人の手でどろどろに溶かされて、その上して欲しいことを口にするなんてできるはずがない。しかも男同士だ。変に自分の欲望のまま晒して嫌われたら死んだって死にきれない。  だがら必死に押し隠す。自分がして欲しいことを口にしないけれど、身体はどうしても遥人を求めてしまう。ツンと尖った胸の飾りがここまで感じやすく淫らに育てたのは他でもない遥人だ。この三年間、抱き合うたびに執拗に弄り続け、くすんだ色だった先端は今恥ずかしいくらい淡い色になっている。 (男なのにこんなところが感じるなんて恥ずかしくて言えないだろ……)  でも弄って欲しい。  感情と欲望の間を行き来して戸惑う隆則は、やっぱり言えず腕で顔を隠した。 「相変わらず恥ずかしがり屋だ」

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