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第2話-7

「ん……」  いつも綺麗に整えられている爪の形を確認するように舐めながら、口腔を硬いもので犯されている気持ちになる。  大きな手を掴みながら舐めているはずなのに、自分のほうが嬲られている気分だ。器用なそれが時折舌を挟んできては絡めとろうとするからだ。自分が舐めて濡らしているはずなのに……。 「んんっ……あっ」 「俺の指より本当は別のものを舐めたいんでしょ」  明確な言葉を口にしないくせに何を示唆されているのかが勝手に脳裏に浮かんでくる。 「んっ」  たったそれだけ、なのになぜか今自分が含んでいるのが指ではなく熱いもののような気がしてきて、仕事で疲弊した脳がぼんやりとしていく。遥人の手を両手で包み、まるであれを頬張っているようにねっとりと舌が動き始めた。指の腹を尖らせた舌先でくすぐりながら徐々に奥へと飲みこんでいく。チュパッと吸いながら本当にあれを刺激していくように指を舐め続けた。  その一部始終を遥人がどんな顔で見ているのかも知らず、どんどん熱心になっていく。 「もういいよ。指フェラしてる顔だけで達きそう」 「あ……っ!」  濡れた指が引き抜かれ、名残惜しそうに追いかけた舌を遥人の口内に捕らえられる。巧みなキスをしながら、濡れた指は淫らに開いた足の間に行きつき、ずっと彼の訪れを待っている蕾をくすぐった。 「んんっ」  唾液の滑りを借りてそれが挿り込んでくると、嬉しそうに内壁がざわついた。  すぐには心地よい刺激をするつもりはない指はゆっくりとそこを広げるように出たり入ったりを繰り返す。そして徐々に長い指を根元まで飲みこませていった。 「今日はこの中もとろとろにしないと。指だけじゃ物足りないよね」  キスで溶けた唇に別れを告げた遥人はそのまま身体を滑らせ足の間へと向かっていった。 「あ……な、に?」  髪が内股をくすぐる感触に腰がよじれる。 「こういうこと」  言うや否や、指の間から散々隆則の身体を溶かした舌が潜り込んできた。 「やっ……だめ! 汚い!」 「洗ったんでしょ、風呂に入った時に。俺にたっぷり可愛がって欲しくて誘う前からその準備をしたんだ」

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