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第4話-2

 煽られてムキになったのか、営業が「言いつけてやるっ!」と叫び始めた。 「誰に? そういや、お前を必死でかばってた開発部の課長、降格だってな可哀想に。あの滅茶苦茶な変更をSE通さずに五十嵐さんに流したってだけでも大ブーイングなのに、仕様と出来上がりが別物レベルの変更させたなんてマジありえねーだろ。なんで変更にSE同行させなかったんだ?」 「俺だってあれくらいの変更仕様まとめられる!」 「それで大赤字だして五十嵐さん辞めさせるきっかけ作るとか、どんだけ無能なんだよ」  盛大に笑われた営業が顔を真っ赤にして給湯室から飛び出してきた。隆則の存在を確認するとギッと睨みつけてきたが何も言わずに営業部があるフロアへと走っていく。その後をゆっくりと新人時代に指導してきた後輩が出てきた。 「あ、五十嵐さんお疲れ様です!」  快活な彼のほうが営業やSEに向いているだろう、少なくともアイツよりはと思いながら片手をあげて返答する。 「……課長が降格って本当か?」 「相変わらず社内ゴシップに疎すぎ、五十嵐さん。降格だけで済んで御の字ぐらいに思ってもらわないとやってらんないですよ」  別の開発系部署に異動した彼には影響は少ないだろうが、それでも自分が辞めることでこんなにも大騒ぎになるとは思いもしなかった。 「迷惑かけて悪かったな」 「なに言ってるんですか。あんな仕様変更、普通ありえないっすよ。それを通したのは五十嵐さんの上司とアイツがデキてるからだしな」  アイツと先ほどの営業が走り去った後を顎で指した。 「は?」 「これも有名ですよ。可愛い恋人の営業成績をあげさせるために五十嵐さんに無理させたらしいって」 「ほんとかよ……」 「五十嵐さん相手に冗談言ってもしょうがないでしょうが。それと、サーシングに引き抜かれたって噂もありますよ」 「なんだよそれ」  最近台頭してきたライバル企業の名前に思わず苦虫を噛み潰したような顔になる。会社の優秀なSEやプログラマーも引き抜かれそのしわ寄せが隆則に降りかかっていたのを嫌でも思い出す。過去に何度かヘッドハンティングの誘いを受けていたが、あのいかにもインテリですという若い社長の余裕ぶった態度が気に食わず、誘いを袖にし続けてきた。 「あ、違うんですね良かった! 辞めた後、どっかにいくんですか?」

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