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第7話-2

 だって、全部自分の服だ。こんなにあるのだって、整理整頓ができないから必要なものをどんどん買い足した結果である。買い足せばそれだけもっと整頓できなくなるということが未だ理解できていない隆則だ。 「俺、慣れてますから」  そう言うと彼は散らかった服をすべて拾い上げ廊下にひとまず置くと、玄関に置き去りにされたままのゴミ袋を手に取り素早くゴミと分かるものをきちんと分別して入れていく。次第に見えてくる床に隆則はただひたすら感動するしかなかった。  自分もといるものいらないものを区分けしてゴミ袋に突っ込んでいくが、それでも彼ほど早くはできず「えっと、これなんだ?」と書類の中身を確認したり、それが何かを思い出そうとしたりで時間がかかってしまう。 「チラシとかいかにもいらないとわかるもの以外は一度この中に入れてください」  彼が床に放置されたプラスチックのレターケースをテーブルの上に置いてくれた。 「仕分けは後で、今はとにかくここにおいてください」 「は、はい……」  言われた通りに書類をそこにポンポンと放り込み、不要だと一目でわかる紙はゴミ袋に放り込んでいく。その間に彼はどこから見つけたのかワイパーを取り出し、床を撫でていく。その手つきは本当に手慣れていて、自分よりも年若いことを忘れてしまいそうになる。同時に、己の駄目っぷりに落ち込みかけるが、今はとにかく片づけと捨てる物だけをとにかくまとめていった。  気が付けばリビングは綺麗になり、リビングから続く二部屋のうち、全く使っていない六畳間を開いた。 「あ、ここは無事だ」  不要な荷物である古いパソコンが数台転がっているだけで他に何も置いていないのを確認し、ホッとする。ここまで自分の不用品が侵略していたらどうしようかと戦々恐々していたのだが、なんとか彼に明け渡せる状況だ。 「そういえば……」  通販で間違って買ってしまった布団が一セットあったような気がして寝室の扉を開けると、異様な匂いが襲い掛かってきた。 「くさっ!」  閉めっぱなしの部屋は弁当の空き箱と体臭の匂いが充満している。風呂に入らないまま何日もカーテンを閉め切ったまま閉じこもっていたのだから、当たり前と言えば当たり前だが、つい数時間前までここで仕事をしていたのかと思うとぞっとした。 「あっ、この部屋もすぐに掃除してしまいましょう」  隆則の後ろから室内を覗き込んできた彼が、当たり前のように新しいごみ袋を取り出して中に入っていく。 「いい、ここはいいからっ!」 「せっかくここまで綺麗にしたんですから全部綺麗にしたほうが良いですよ。じゃないと他の部屋にも匂いが移りますから」  正当な理由にぐうの音も出ない。  素早く弁当の空き容器を回収し、リビングと同様にいかにも不要なものだけをどんどんとゴミ袋に投入していく。そして床が見えるようになるとそこをワイパーで撫でていった。

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