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第21話-2

 むしろもう一度関係を始めてからその様子は顕著だ。年下の遥人に甘えてはいけないと急に色々やり始めては失敗している。今まで料理なんかしたことがないのに、遥人の帰る時間に合わせて料理をしようとして火事を起こしかけたこともあった。当然ながら料理禁止令を出し、掃除機を壊すからと掃除禁止令も発動して家事は遥人の担当に戻したが、それでも年上のプライドだろう、生活費は一切受け取ってもらえていない。自分が遥人を支えているのだという矜持を傷つけないようにしながら、ゆっくりゆっくりと互いに妥協点を模索している段階だ。  本音を言えば甘えて欲しいのだが、不器用な隆則は一度こうだと決めるとなかなか頑固な面がある。 (だから本音が知りたくて無茶なセックスをするんだと、いい加減気付いてくれないかな)  性欲が以前に比べて落ちているとはいえ、感じてる隆則の顔を見れば何度でも抱きたくなるのは変わらない。 (今日あたり仕事終わるかな)  週末だ、もし終わっていたなら今夜は久しぶりに隆則をたっぷり味わおう。なんせまたしてもデスマッチだと変な仕事を引き受けては部屋に篭ってる。  情に篤い隆則はサラリーマン時代の知己からの仕事を断れないようで、無茶なスケジュールと分かっていても引き受けてしまい平気で遥人を放置する。何日もまともに寝食をしないその後ろ姿にこちらがどう思うか少しは理解して欲しいところだ。  心を落ち着かせながらドアを開けキッチンへと向かう。  相変わらず部屋から出てきた気配がない隆則のために身体が温まる食事を作ろうと、着替えるのももどかしくコートとスーツをソファに投げ早速調理にかかる。週末に作り置きしていた常備菜をアレンジしながら手早く三品作り、家を出る前に予約したご飯が炊きあがっているのを確認する。 「隆則さんはおじやが大好きっと」  本当は粥のように柔らかいものを用意したいが、隆則は粥よりもおじやの味付けの方が好きなようで、とにかく肉を付けることを目標としている今、好きなものを最優先に準備している。以前に比べて食が進むようになったが、それでもふくよかとは程遠い身体がまた痩せているのを想像して、どうにか精の付くものをと彼の箸の進みを優先させる。  ご飯を洗って煮立った汁の中に入れていく。溶き卵を投入して混ぜてから小口ねぎをまぶして完成だ。 「これで良しっと」  完成させてから隆則の部屋のドアの前に立つ。

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