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番外編-酔っ払いと甘い言葉と可愛い人-5
「ん……あっ」
後ろに手を回した隆則は、躊躇うことなく自分の指をそこに飲み込ませていった。
二人とも仕事があるから週末にしか身体を繋げていないのに、いつも器用にキーボードを叩く指がするりと飲み込まれるのがわかった。グリグリと入り口を広げるように乱暴に動き、すぐに指が増やされる。
遥人の欲望を咥えながら自分を慰めるなんて、これ程までに淫靡な絵はあるだろうか。これにはさすがの遥人も興奮を抑えられなくなった。
隆則の小さな頭を掴み、乱暴に腰を動かす。
「んんっ!」
抗議にも似た音が立ったが、酷いことをされているのに隆則の腰が揺らめき、指の抽挿が早くなっている。
「俺の隆則さんはこんなにいやらしくて可愛いんですね」
感嘆すれば、言葉に興奮した隆則が指の動きを大胆にしていった。
先走りを啜られもっと出せと舌が欲望の先端に潜り込んでくる。それはいつも遥人が隆則を狂わせるときに使う舌技だ。こうしてくるということは、嫌だと言いながらも気持ちよかったのか。
奥歯を噛み締めていなければすぐにでも達ってしまいそうになる。
だが達くのがもったいない。
「隆則さんもう放して……これを一番感じる場所に挿れさせて」
どこ、なんて言わなくてもわかっているはずだ。とろりと溶けた眦がさらに色づいた。その瞬間を想像したのか、恍惚とした表情で欲望を取り出すと、先端に「チュッ」と口づけてからソファに腰掛け、足を開いた。
指をそこに咥えさせたまま。
「指、抜かないと挿れられませんよ」
「んっ……でもむり……」
気持ちよくて抜けないと言わんばかりに、指の動きが大胆になる。
とろりとした目が塞がれ、手淫に没頭していく。
「んんっ……ああっ、はると……すきっ」
まるで自慰を見せつけられているようだ。
離れていた間もこうして自分の名を呼んでは思いを音に乗せていたのだろうか。
「俺も好きですよ」
「あああっ」
手を掴んで、手淫を手伝う。もっと早く乱暴に動かせば、狂ったように首を振って嬌声を放った。
「いいっ……ああっ、はると……すき、すきなんだっ」
「わかってます……でももっと言って」
「だいすきだからっ……いっぱいいじわる、していいから……嫌いにならないで……」
眦に涙が浮かび上がる。
どうしてそこでいじらしさを見せるんだろう、この人は。嫌いになるどころか抜け出せないほどこの人にのめり込んでいるというのに。少しの時間、他人に譲ることすらできないくらい欲しているのに、なぜ気付いてくれないのか。
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